私が学生の時、一緒に通学していた友人は、よくお腹が痛くなる子でした。
電車の中でも頻繁で、酷いときは立っているのも大変な様子でした。
電車の中はかなりの混雑で、きつそうな時は、途中の駅で下車する提案をするのですが、その子は根っからの頑張り屋さんで、いつも我慢をしていました。
ある日、いつもより体調が悪くなり立っているのも限界という状況になった時、目の前の男性がすっと立って「どうぞ」と一言、席を譲ってくれました。
その男性は、いつも同じ電車で見かけてはいたのですが、少し怖い印象がありました。
しかし、降車駅までまだ大分あるにもかかわらず席を譲ってくださった親切な行動にとても驚いたのと嬉しい気持ちでいっぱいになり、隣にいただけの私でさえ、その日はとても気分が晴れやかだったのを覚えています。
親切な気持ちは、優しくしてもらった人だけじゃなく、周りも穏やかに癒しを与えることが出来るのだなと感激しました。
あれから年月は経ち、その友人も丈夫になり当時の話も懐かしい昔話になりましたが、今でもあの男性の優しさに感謝の気持ちを忘れていません。
長い人生の中のたった一度のエピソードではありますが、その時の男性の行動と、いつまでも感謝の気持ちを持ち続ける友人を誇らしく思います。
「自分さえ良ければいい」という風潮が多い昨今ですが、やはり周囲の人にも好影響を与え、みんなが仲良く幸せを分かち合うような世の中になっていったら素敵だと思います。
自分自身も、その人のような利他的な人になるべく日々心掛けようと思いました。