私は税理士になろうと思ったときに、どんな税理士になろうとか考えていませんでした。特に使命感もありませんでしたし、さらに言うと、税理士の仕事すら理解出来ていませんでした。
私の周りの税理士も、使命感もなくひたすら手続き業務を続けている人が大半です。中小企業の経営者の多くも似たり寄ったりです。少なくとも私にはそう見えます。
人は自らの職業に使命感を持つことが出来たら、環境は大きく変わります。見える世界が変わり、出会う人が変わり、何よりも自分自身が一番変わります。
周囲から見たら特別な存在になる筈です。尊敬されるかもしれませんし、変人呼ばわりされるかもしれません。
地域1番店になる、売上げを○億円にしたい、社員を○○人にしたいというのは単なる目標ですから使命感とは違います。
もちろん目標はないよりもあった方がいいのですが、その目標の先にあるのが使命感です。目的にも似たものです。
地域1番店になってどうしたいのか。同業他社を負かしたことで、地域社会にどのような良き変化がもたらされるのか。その結果社員の幸福感は高まるのか。社長がそこに意味を見出し言語化できたら会社は大きく変わることになります。
とは言うものの、無理して自分の価値観に合わない使命感なんて考えないことです。考えて簡単に出るものでもありません。
自分の価値観に合わないことはどうせ長続きしないのです。他人がやっていてどんなに立派に見えても、どんなに楽しそうに見えでも、自分には合わないことってありますよね。無理をしないことです。
生きる目的がなくてもみんな生きていますし、使命感がなくても仕事はやっていけるのです。目の前の仕事を一所懸命やるだけで、そこそこの結果も得られます。
ただここは強く言いたいのですが、使命感を持つことはひとつの能力を得ることと同じだということです。人生が豊かになり、多少のことでは心が折れずに強く生きていけることもたしかです。
『吾五十にして天命を知る』(論語:為政第二)……私は50歳にして天から与えられた使命を知った。