「経営者に人間性って必要なのですか」……ある会社の経営幹部の発したひと言です。
会社幹部からそのような発言があることに驚きです。経営者だから気高い人間性が必要ではなく、人である以上は人間性が必要に決まっています。
そんなことすら理解できていない人が経営者になったら、社員はお気の毒というものです。
経営者の中には、「売れさえすればいい」「実力さえあればいい」と考える人もいますが、私は認めたくありませんし、少なくともそんな経営者を尊敬する気にはなれません。
知識や技術だけでお客様にご満足いただけることもありますが、サービスを提供する社員の人格に問題があってお客様がご立腹されることも少なくありません。人格や人間性って、見えないものではありません。本人は隠したつもりでも、見えてしまうものです。
子を見たら親が分かると言いますが、中小企業の場合には、社員を見たらおおよそ経営者は分ります。社員の採用から育成にいたるまで経営者の価値観や人格が色濃く出るからです。
社員が会社を辞める原因の上位には上司の対応があることを忘れてはなりません。特に中小企業の場合は、経営者に個性の強い方が多いので、幹部社員は経営者色に染まってしまうものです。染まらないことには社内で上手くいきません。だからなおさら経営者の価値観が大切になります。
これは私の人格が優れていると言っているのではありません。ダメなところは山のようにあります。特に、私の言動で社員を傷つけてしまったと凹むことはしばしばです。
しかし、社内では立場上位の私に進言する人はほぼいません。反省のし過ぎはいけませんが、自分のどんなところがダメなのか気付くことって大切ではないでしょうか。立場が上の人こそ、日にわが身を三省するのがいいのです。
この人の下で働けてよかったと……そう思われる上司になりたいものですね。ああ今日も反省です。