ふるさと納税

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 ふるさと納税……税理士なのに経験してないのもどうかと思いやってみました。私はこのコラムで税金のことは書かないと誓っていますが、今日は少し触れてみます。

 ふるさと納税は、納税とうたっていますが実際には「寄付」です。その寄付をした金額とほぼ同額が税金から控除される特典があります。その税制上の特典は年収によって変わってくるのでどなたにも一律に勧めることはできませんが、基本的にはお得な制度なのでなさるがいいかと思います。

 私もやったところ、ステーキ和牛(土浦市)、活アワビ(下田市)、活ホタテ(八雲町)、メロン(安平町)、リンゴ(横手市)、梨(佐賀県)、ヨーグルト(高森町)、アイスクリーム(南足柄市)……これらはふるさと納税した自治体から届けられたお礼の品々です。

 上記の寄付金総額は10万円ですが、翌年の税金が9万8000円安くなるので、実質の負担は2000円のみです。ほぼタダでこれらの品々がいただけるのですから本当にお得な制度です。

 しかし、なんだか納得できません。前から思っていましたが、改めてこの制度は間違っていると感じています。

 ふるさと納税の本来の目的は物をもらうためではありません。多くの人は地方で生まれ、そこで医療や教育等様々なサービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、その都会で納税を行なっています。その結果、都会の自治体は税収を得ますが、ふるさとの自治体には税収が入らないという矛盾が生じます。そこで生まれたのが、自分の意思でお気に入りの自治体に納税しようというふるさと納税制度です。魅力ある自治体創りという点においてもいい制度だと思います。

 しかし現実は、多くの人はお世話になった自治体ではなく、好みのお礼を貰えるまたは投下金額に対する還元率のいい自治体を選んで寄付するのです。 

 国家全体としての税収は変わらず、お礼の品を“こっちの水は甘いぞ”とばかりにPRし、撒き散らすのですから、どう考えても国家の損失です。

 こんな制度は近い将来なくなるはずです。無駄遣いの最たるものですから一国民として納得いきません。みなさん、やるなら今のうちです。