現実に流されるな

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 私の名刺には「豹変する男日本一」と刷ってあります。名刺を受取った方から、「いつ豹変するんですか?」「豹変したらどうなるのですか?」などと言われます。まあ半分はウケ狙いで、半分は真面目にやっています。

 その語源は、中国の易経にある「君子は豹変す、小人は面を革(あらた)む」からきています。

 徳の高い立派な人物は、自らの過ちに気づけば即座にそれを改め正しい道に戻るが、普通の人は、表面上は変えたように見せかけておいて、中身はあまり変わらない……という意味です。

「豹変する」とは、豹の毛が季節によって抜け変り、斑紋が鮮やかに表れることから転じて、態度がいい方にがらりと変わることを言います。

 論語にある「過(あやま)てば則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ることなかれ」(子罕第九)もほぼ同じ意味です。

 そして私の今の社内での日本一宣言は「疾風の勁草日本一」です。こちらの語源もやはり中国の後漢書の「疾風に勁草(けいそう)を知り、厳霜(げんそう)に貞木を識(し)る」からきています。

 激しい風が吹くと、弱い草は倒れてそこで初めて丈夫な草が見分けられるように、厳しい霜が降りると、その寒さに耐えられる木だけが残るように、人は何ごともない時には大差はないが、苦難に出会って初めてその強さが分かるというものです。

 これも論語のなかに「歳寒くして、然るに松柏の彫(しぼ)むに後るるを知るなり」(子罕第九)と、似た章句があります。

 そんなことを学ぶことが出来るのが『くにたち論語塾』です。論語というと、難しそうに髭のお爺さんが教える堅いイメージがありますが、『くにたち論語塾』は少し違います。

 女性講師の安岡定子先生による講座は、本来は難しい講義を、時代背景とともにまわり道、寄り道をしながら、分かりやすく解説してくださいます。学生時代に国語が一番の苦手科目だった私でも楽しく学ぶことが出来ています。

 経営者には実社会の現実に流されないための錨のような思想を持つことが大切です。会社や世の中がどうしたら良くなるだろうか、そんなことも論語から学べます。

 人並み以上に強い煩悩を持った私が、その煩悩や現実に流されずに済んでいるのは、定期的に触れる論語が錨になっているように思います。素敵なオジサマになりたいものです。