先週のコラムで、少子化の中でも人口の減少が緩やかなのは、日本人が長生きになっているからだと書きました。
かつて人生50年と言われた時代がありましたが、初めて平均寿命が50歳を超えたのは昭和22年のことです。江戸時代から戦前までの日本人の寿命は40歳台でしたが、いまや平均寿命は男女ともに80歳を超える世界一の長寿国です。
長生きになることはとてもいいことなのですが、一方で頭の痛い問題もあります。それは年金と医療費の問題です。
私は、お年寄りが「自分たちの世代は年金を満額もらえるが、若い人たちは気の毒だ」と言うのを聞くと、少し複雑な気持ちになります。
そう言われた若者たちは夢も希望もなくなります。そもそも不況下で育った若者たちの潜在意識には、未来に対する希望などはじめからないのかもしれません。
いまの日本は1000兆円の借金を抱えています。それに年間の税収54兆円で歳出が98兆円です。
そう言われてもピンときませんよね。これを私たちの家庭に置き換えると、年収540万円の人が1億円の住宅ローンを抱え、生活費に年間980万円使っている状態です。これでは消費者金融に駆け込むか、自己破産するしかありません。
この借金を私たちの世代でどうにか食い止めなくてはなりません。このまま何の策もなく次の世代に付け回したのでは末代までの恥です。国民は貰うことにばかりを主張せずに、生活さえ困らなければ我慢も必要です。
若者たちは声を大にして叫んだらいいのです。「お年寄りの年金2割カット」「自分たちに借金を付け回すな」と。多くのお年寄りは経済的に困っていないのですから。
年金カットは政治家には言えないテーマです。しかし2016年から選挙権が18歳以上になります。若者が立ち上がったら政治は確実に変わります。
そして私たちの世代も年金は3割カットです。年金の放棄(寄付)もいいかもしれません。放棄した人は放棄した金額を市役所に掲示してはどうでしょう。寄付者の自尊心を満たすような政策の方が、無駄遣いの典型ふるさと納税よりもいいと思うのですが。