以心伝心

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「叱る」と「怒る」の違いをよく聞きます。理性的に叱るのはいいが、感情的に怒るのはよくないとのことです。その意味では私はダメな経営者かもしれません。

 私はブチ切れるということはありませんが、“プチ”切れることは時々あります。喜怒哀楽が表情に出やすいので、社員にとっては分かりやすいタイプなのだと思います。

 先日ある勉強会で学んだのですが、叱ろうが怒ろうが、そこに「信頼関係」さえあればどちらでも問題ないということでした。

 私は、頭で考えて理性的に叱るということに少し違和感がありましたから、これには納得ができました。本気になるほど熱く語ることってあるじゃないですか。人が拒否反応を示すのは、言われている内容ではなくて、それを言っている信頼できていない人に対してなのです。

 そしてそこでは信頼の反対語についても学びました。みなさまは何だと思いますか。私にとっては意外でしたが、信頼の反対語は期待なのだそうです。私はどちらも類語程度に考えていました。

 信頼とは、相手が自分の思い通りに動かなくても、成果や結果を出さなくてもすべてを受容することです。親が子供のすべてを受け入れられるのは、まさにこの信頼があるからです。この関係があったら怒っても叱っても問題なしです。

 一方期待とは、相手を自分の考える通りにコントロールしたいという思いです。相手のためではなく自分のために期待してしまうのです。だからこそ、期待を裏切られることに対して、敏感に反応してしまうのです。

 では、その信頼はどのようにして成立するのでしょうか。相手の能力、人柄、家柄、経歴、財産、人脈、出身校、付合いの長さ……どれも関係ありません。その信頼はこちらが一方的に受け入れたらできるものなのです。つまり、こちらが心の中で宣言するだけなのです。親が子供を信頼するのは、その子の能力や性格ではないのです。

 以心伝心。人は察知する能力があるのです。こちらがどこまで相手を受け入れるかによって、相手もどこまでこちらを受け入れるかを決めるのです。