先週のコラムで、会社の方向性や文化に合わない人は入社しないほうがいいと書きました。社員にとって会社の方向性は良いとか悪いとかではなく、合うか合わないかなのです。
全世界で数百万部売れている不朽の経営書『ビジョナリーカンパニー』の中で、世界的な超優良企業の表明が紹介されています。

－ノードストローム－
当社の一員として成功するために必要な資質は、全員が持っているわけではない。社員を厳しく選別するので、辞めていく人が多いのです。……プレッシャーに耐えられない人、猛烈な仕事に耐えられない人、会社のシステムや価値を信じられない人は辞めていきます。大切なことは当社に合っているかどうかです。合っていなければ、会社を憎むようになり、惨めな思いをし、辞めていくことになります。（P193）

－P&G－
当社はその歴史を通じて、強化、同質性の追求、エリート教育を徹底して使い基本理念を維持してきた。採用に当たって慎重に応募者を選別し……当社流の考え方や行動を叩き込み、企業文化に合わない社員ははじき飛ばし、上級ポストは下から昇進してきた忠実な社員にしか割り当てない方針を貫いてきた。（P221）

－IBM－
初めての面接の段階から、哲学を社員に吹き込み始める……当社はビジネスがどういうものかについて、はっきりした考え方をもっている。当社で働くようになれば顧客にどう対処すべきかを教える。顧客とサービスについての考え方が違うのであれば、当社から離れるほうがいい。その時期は早いほどいい。（P211）

　採用の失敗を教育で補うことは困難ですから、人材は最重要の資産ではなくて、適切な人材こそが最も重要な資産となるのです。会社の文化に合わない人に入社されることが一番困るのです。