かつての大石会計事務所の採用面接は、こちらの質問に対して応募者がどのように答えるのかを観察することに重きを置いていました。
いまでは大石会計事務所の取り組みについて説明して、応募者が事務所の方向性について共感できるかどうかを確認するようにしています。
大石会計ではマラソン、地域清掃、教育勅語暗唱、論語教室、元気の出る朝礼等々、会計事務所としては少し変わった活動をしています。これらすべてが強制ではありませんが、少なくとも共感できないと思った人は入社しないほうがいいのです。
なぜかと言いますと、共感できない人や嫌々やっている人は早晩退職していくことになるからです。
20年以上前になりますが、初めて社員を採用したときは資格重視の募集でした。簿記を学んできた社員を採用し続けましたが上手くいきませんでした。資格を問うたら面白味のない社員ばかりが集まる傾向にありました。
ならばと採用基準を見直して、元気、前向き、笑顔が素敵、声が力強い……面白い人たちが集まって来るようになりました。
しかしその後、私がある方向性を強く打ち出すと、ただ元気や前向きなだけではまた上手くいかなくなるのです。
打ち出したテーマは会計事務所っぽくない会計事務所です。自社が、お客様の模範となれるような中小企業でありたいと表明し取り組んだのです。
業績的には、その方向性を打ち出したころから顧客数が伸び始めました。それに反応してくださるお客様がいらっしゃったのです。しかし一方でその考え方に合わない社員も出るようになったのです。
それまでは試算表を作り決算申告や年末調整等の手続きが社員の業務の中心だったものを、サービス業的なことも求めはじめたからです。
サービス業が向かないから、堅い資格商売を目指して会計事務所に就職したなんて人は、それに違和感を覚えてしまったのだと思います。
会社の方向性に合わない人は辞めていきます。確実に辞めていきます。ならば最初から出会わないほうがいいのです。会社の方向性と合うか合わないかが、採用ではもっとも大切なことなのですから。