苦のはじまり

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「オギャーッ」、赤ちゃんは生まれた瞬間に泣き出します。泣いてくれないと困ります。泣くことで自分の力で空気を体内に取り込めるらしいのです。つまり自力で呼吸を始めたということなのです。

 赤ちゃんは十月十日の間、母親のお腹の中で守られます。守られている間はたぶん窮屈なのだと思います。手足を伸ばすことも瞬きすることも出来ません。出産によって窮屈な世界から解放され自由の身になれるのです。

 やっと生まれたのですが、仏教では生まれることが苦しみの始まりといいます。「オギャー」はその苦しみに対しての象徴的な反応なのかもしれません。

 みなさんが勤める会社においても、そこは組織ですから窮屈さはあります。若い社員は時にその個性が無視されてしまうこともあります。

 私もそうでしたが、新入社員はそんなことに反発したりするものです。しかし守られている新入社員はある意味で赤ちゃんと同じです。他の社員やお客様のお役に立ててない間はいちいち個性など気にしてもらえません。

 新入社員も入社から2ヶ月が経ち、もしかしたらイメージ通りではなく多少の不安を感じ始めているかもしれませんね。それは先の見えない窮屈さかもしれませんが、もうしばらくそこは耐えるしかありません。誰もが通る道ですし必ず開ける道です。

 それで2~3年やってみて、どうしても合わないようでしたら転職して合う会社、合う社長の下で働くのがいいのです。 

 そして、それでも更に納得いかない場合は、もう自分で起業するしかありません。それまで、社員の立場で納得のいかなかったことをすべて解消させるべく頑張ってみることです。

 しかし、起業した瞬間が「オギャー」の始まりということもあります。そこで初めて経営者の悩みや苦労を味合うのかもしれませんが、今度は逃げ場がありません。その時こそ、社員の時代に納得いかなかったことを自分の力で実現するのです。