どうして俺ばかり……

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「この頃の若い人は……」とよく言われます。これは今に始まったことではなく、私たちが若いときにも言われてきました。数千年前の洞窟にも書かれてあったそうですから、大昔から変わっていないということです。

 その意味では、私も今の若い人を批判できる立場にはないのですが、それでもあえて言わせてもらうと、この頃は自立心が足りない若者が増えているように思えます。私だけでなく、会社の規模や業種に限らず、若者が自立していないと嘆く経営者は結構多いのです。 

 自立できていない人は、「会社はどうしてくれるのか」、「上司はどう評価してくれるのか」、「どうして自分ばかり……」などと考えます。始終、周囲の反応が気になり振り回されてばかりです。いつも誰かに頼り切って、それでいて自分中心に考えてしまうのですから困ったものです。

 一方、自立している人は、「どうしたら上手くいくか」、「どうしたら充実できるか」、「どうしたら生産性が上がるか」、「どうしたらみんなが楽しいか」……と考えます。人に頼らないだけでなく、周囲の人のことも考えてくれます。

 自分のことや自分の生き方さえも自分で決められずに、誰かに頼ってしまうのは残念なことです。人生は、他人に引きずり回されるのでなく、いい意味で引きずり回すのがいいのです。

 ただしそれは、他人の意見を聞くな、ということではありません。日ごろから物事の決断を避けていてはいけないのです。食事に行くにも自分でお店やメニューを選ばない、いつも人に合わせてしまう、洋服も無難なものばかり選ぶ……小さな勇気が足りません。小さな決断ができなくて、どうして大きな決断が出来るというのでしょうか。

 人生においては、もっと大きく、正解がないような迷える場面が度々訪れます。そんな時は、他人の意見を参考にするのも結構ですが、最後は自分の責任で決断するしかないのです。日ごろから自分の意見を持ち、決断する訓練を積んでおいた方がいいのです。

『君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず』(論語:子路第十三)……君子は人と調和することが出来ますが、自分の意見はしっかり持っています。小人は自分の意見を持たずに、うわべだけで人と仲良くしてしまいます。