「人間は年をとると性格は丸くなる」……若いころ、私はそう思っていました。子供のころに、穏やかなお年寄りが身近にいたからかもしれません。
しかし周囲を見回すと、年を重ねると体型は丸くなりますが、性格は逆に怒りっぽくなるようです。
電車の中で態度が悪い人や大声を上げる人がいます。それが人間的に成熟していない若者ならまだ分りますが、案外年配のおじ様に多い気がします。
先日、歩行者天国で愚図っている子供に困り果てている母親に、60歳代のおじ様が大声で注意していました。私にも経験がありますが、母親はしたくて愚図らせているわけではないのです。
赤ちゃんを抱っこした母親やご老人が電車に乗ってきても、席を譲るのは大概若者たちです。儒教の精神では当たり前ですが、それでも茶髪の若者の優しい振る舞いは見ていて気持ちのいいものです。
これではおじ様たちも「最近の若者は」なんて、偉そうに言えません。意外に振る舞いはおじ様たちよりも若者の方が立派です。
人生経験を積み重ねると価値観がいい意味でも悪い意味でも固まってきます。それ自体は決して悪いことではありませんが、自分と違う価値観に対しての許容範囲が狭まり排除したくなると少し困ったことになります。
問題なのは、自分と違う価値観は間違っていると思い込むことです。間違っているのではなくて違っているだけなのです。違うと思っている相手から見たら、こちらが違っているのです。
若い頃は固定観念がないので、外からの情報は何でも素直に受け入れられます。おじ様たちは素直さが足りなくなるので変化も成長も若者には及びません。
年をとっても素直なおじ様でいられたら素敵ですよね。ああ今日も書きながら反省です。