損得勘定

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 こんな言い方をすると誤解を招くかもしれませんが、人は損得に対して非常に敏感になります。すべてを損得勘定で判断してしまうのが人間かもしれません。

 楽しいもの、美味しいもの、気持ちいいもの、安心できるもの……つまり、自分にとって広い意味で得になるものは誰もが歓迎します。反対に、苦しいもの、不味いもの、気分の悪いもの、危険なもの……は避けたくなります。

 とは言うものの損得ばかりで物事を判断していると打算的人間に思われてしまいます。そんな人間に見られないように振る舞う……それすらもまた損得に基づいた打算的反応とも考えられませんか。

 では、募金をする行為は損得勘定ではどのように説明できるのでしょうか。他人のためにお金を使うことで得られるプラスの感情が、金銭的出費によるマイナス感情を上回るということではないでしょうか。マイナス感情の方が上回れば、募金箱にお金を投入することはありません。

 この損得勘定は消費行為にも当てはまります。金銭の出費という明らかなマイナスの感情に対して、それを上回るプラス感情がもたらされる商品やサービスに人はお金を使うのです。そしてお金には限りがありますから、プラスの感情がより大きくなりそうなところに重点的に使うのです。

 飲食店で例えると、お客様は、味、ボリューム、サービス、近さ、施設……これらが値段と見合っていることはもちろんですが、他のお店と比べた相対的満足感で来店されるのです。絶対的満足感で来店されるのではありません。単に自店の商品が美味しいとか安いとかではないのです。それらも含めた他店との比較の結果なのです。

 みなさんにイメージしてほしいのですが、私たちは食事に行くときに、必ずいくつかの候補の中からお店を選んでいます。近隣のすべての飲食店から探すのではありません。ほんの限られた5~6店のリストの中から選んでいるのです。

 集客が上手くいかないお店というのは、そもそもお客様のリストにすら挙がらないお店なのです。お客様に得した気分になってもらい、リストに載ることがテーマなのではないでしょうか。