ビジネスが順調な会社の経営者は、誰もが賛同するような当たり前のことはしていないものです。誰もが思いつき、誰もがやるようなことは、行動に移したとしても差別化にならないからです。
社内に大きな変化をもたらそうと思ったら、社員から簡単に賛同を得られないようなことを提案するのがいいのです。その抵抗の大きさに比例して、改革も大きいものになる筈です。
往々にして社員は、変化に対して抵抗勢力となりますが、これは不思議なことではありません。人間の脳は変化に対して柔軟にはなれないらしいのです。
したがって、変化を求められる中小企業においては、合議制による運営は勧められません。決することが大きければ大きいほど、トップが一人で決断してしまうのがいいのです。
また、権限の委譲もいいのですが、覚悟のない者に決定権を与えてはなりません。責任を取る覚悟をもてる水準の案件についてのみ、決定権を与えるのです。社員にはまったく覚悟がないとは言いませんが、経営者のそれとは水準が違います。
ここで言う覚悟とは、上手くいかなかったら会社を辞めればいいといった程度の軽いものではありません。中小企業にあっては、社長は何があっても辞めることはできません。失敗したときの経済的損失を常に覚悟しているのが社長なのです。企業経営において責任を取るということは、経済的に責任を取るということです。
一見強そうに見える経営者も、抵抗勢力や見えないリスクのプレッシャーで眠れないこともあるのです。しかし、簡単にプレッシャーに負けるようでは経営者は務まりません。その意味でも経営者はメンタルタフネスでなくてはなりません。タフになれと言われてなれるものでもありませんが、タフでなければ務まらないのです。