記憶術

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 あたはご自分の記憶力に自信がありますか。何かをしようと思って隣の部屋に行ったのだけれど、「いま何しようとしてたのだっけ?」……なんてことありませんか。

 50歳過ぎても記憶力に自信があるとしたら、本当に立派なものだと思います。年を取るということは、忘れっぽくなることでもあります。

 私の場合、若いころから人の顔と名前を覚えることが苦手でした。多くの人と名刺交換すると、ついさっき名刺交換したばかりの人に、「はじめまして」なんて声をかける間抜けさですから重症です。

 自信を失いかけていた時に知人のfacebookで記憶術講座を知り、即申し込んでみました。あるイベントで見た、30個の単語を一度聞いただけで覚えてしまう、あの技を身につけられたら格好いいななんて期待しつつの参加です。

 二日間コースの初日、行ってみると生徒は二人。ラッキーです。ほぼマンツーマンで教えてもらえるのですから。しかも一緒に学ぶのは学業優秀な某私立男子中学の2年生。これは少しハンデがあるなと思いつつ、なんか楽しく学べそうな予感がします。

 初日の講義とトレーニングで基本的な考え方とコツを学ぶと、20個の単語でしたら難なく覚えられるようになります。この程度なら、普通の人でしたら2~3時間の訓練で出来るようになります。

 そして初日の講義が終わる夕方5時に、なんと宿題が出されました。100個の単語の記憶です。「たまご」、「新幹線」、「花束」、「ネクタイ」、「防犯カメラ」と、例によって、なんの脈略もない単語の羅列です。

 その日の晩は7時から宴席だし、翌日も朝が早い。宿題をやる時間がない。ならばと、都内から国立までの帰りの1時間の電車で覚えてしまえ、とばかりにやってみると、案外簡単にできてしまったのです。

 記憶術についてはいろんな本が出ていますので、知識だけでテクニックを習得できるようになると思うのでしたら、本を買って覚えたらいいと思います。しかし、理解できることと身につくことと違います。普通の人は本を読んだだけではできないと思います。

 このコラムを読んで興味を持たれた方は、参加型の講座に行かれることをお勧めします。いろんな意味で自信が持てるようになると思います。

 『学びて時にこれを習う、また説ばしからずや』(論語:学而第一)……学んだことを、機会ある毎に実践していくと真の知識として体得することができる。これはなんと喜ばしいことではないか。