年齢構成で給与を抑制

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 出来ることでしたら一人当たりの給料は会社にとっても高い方がいいのです。同業他社より安い給料で他社以上に働いてもらおうなんて経営者としては自慢になりません。

 給料の多寡だけで社員の質が変わるとは言いませんが、傾向としては、質のいい社員を確保しようと思ったら安い給料ではなかなか難しいのではないでしょうか。

 こんなに景気が悪いと社員の昇給どころではないという会社も多いのですが、若手社員の給料をずっと据え置きというわけにもいきません。経営者にとっては頭の痛い話ですが、社員としても生活がかかっていますから。

 しかし、少しご安心ください。国税庁の平成22年民間給与実態統計調査結果の発表では、サラリーマンの平均年収は過去10年で1割以上減少しています。さらに物価指数は過去10年で1.6%下落しているのです。

 土地をはじめとして、生活用品もデフレが進んでいる状況下では、昇給できなくても実質的には昇給しているのと同じことなのです。つまり昨年の1万円より今年の1万円の方がより価値があるのです。

 そうはいっても出来ることなら昇給してやりたいものですし、他社よりも少しでも高い給料を支払ってやりたいものです。しかし一方で会社の収益は上がらない。どうしたものでしょうか。

 実は収益が上がらなくても昇給をする方法があるのです。それは、各年代にバランスよく社員を配置することです。つまり年齢構成をバラけさせることで可能となるのです。

 給料の高い社員が定年退職してまた入れ替わりに若手社員が入社してくる。つまり、社員の入退社がうまく循環している会社は、各社員の給料が増えながらも会社全体では給与総額は増えることはないのです。

 ある特定の年代に社員が偏ってしまうと、昇給のためには拡大戦略が必要になってきます。先週のテーマの一人当たりの生産性にしても、上げ続けることは不可能ですから、成長を目指すしかなくなるのです。