社員が、不注意や操作ミスで会社の車をぶつけて傷つけてしまったときに、社長であるあなたはどのように対応するでしょうか。これまで当社にもそんな場面は幾度もありましたが、私は絶対に怒ることはありませんでした。車をぶつけたことで怒られた社員はいない筈です。
車をぶつけて報告に来る社員で反省していない人はいません。原因は誰が見ても明らかな本人の不注意や操作ミスですから言い訳はできません。芯から落ち込んでいる人を怒る気にはなれません。やってしまったことは仕方がないのですから。
お客様からクレームを受けることの多い社員に共通していることは、謝ることが下手だということです。私から見ても、この人は本当に反省しているだろうかと思うことがあります。
不注意で車をぶつけてしまった時と同じくらい神妙な態度で謝れば、相手も怒る気にはなれないものです。真摯に反省している相手を見たら、大概はそれで収まってしまうのではないでしょうか。
追い詰められてから「ごめんなさい」「すみませんでした」と口先で謝るのが一番いけません。なおのこと頭にきてしまいます。ご立腹されている方には、まずもって謝ってしまうのがいいのです。
目の前の相手が怒っていることだけは確かな事実ですから、まずは鎮まってもらうのが最優先です。たとえこちらに非がないのだとしても、基本は謝るのです。謝ってしまったら負けになるとは思ってはいけません。「申し訳ございません」と謝ることとこちらが非を認めるということとは同じではないのです。気分を害してしまったことに対して謝るのです。
時にはクレームを言ってこられた相手の勘違いということもありますが、そんな時でもまず謝ってしまうのがいいのです。冷静になってもらってから丁寧に説明すれば相手の立場も保たれます。すぐに相手の勘違いや思い違いを指摘したのでは、誤りに気付いても引っ込みがつかなくなることがあります。
結論としては、こちらに非があったら即謝るべきですし、相手の勘違いでもこちらが謝ってしまえばいいのです。
私は社員が車をぶつけても怒りませんが、他車に迷惑な運転や雑な運転をしたら怒ります。ぶつけてしまってから怒っても後の祭りです。ぶつける前に本人に習慣の悪さを分からせるのがいいのです。
ところで、よく「叱る」のはいいが「怒る」のはよくないと言いますが、私は昔から両者を区別して考えたことはありません。念のため広辞苑で「怒る」を調べてみました。「=叱る」と書いてありました。これからも安心して怒れます。