「なんか宗教っぽくなってきたね」……大石会計事務所が駅前商店街のゴミ拾いを始めた数年前、知人から言われた一言です。その方の真意はともかく、私にとってはこの上なくありがたいお褒めの言葉に思えました。

　一部の社員が自主的に始めたことが、社内に広がっていき、このゴミ拾い活動になったのです。価値観の近いものが集い、同じ目標を掲げみんなで一体となって取り組む。たしかに、会社経営は宗教と似ています。

　調べたわけではありませんが、社内に一体感のある会社とそうでない会社の生産性を比べたら、圧倒的に前者が上回るのではないでしょうか。業績が低迷している会社は提供する商品やサービスに原因があるのではなく、社内が一体化していないことが原因であるケースは少なくない筈です。

　このごろは、若者をはじめとして、社員の会社に対する帰属意識が薄れています。「会社のため」なんて言ったら変な奴だと思われてしまうような時代なのかもしれません。そんな時代そのものが変なのです。

　私が絶対に尊敬できない人は、自分の帰属する国、地域、組織、家庭、これらを悪く言う人です。当たり前ですが、自分の所属する会社を悪く言う人も同じです。そんな人と話をしても楽しくありません。

　どうしても会社に合わなかったら、合う会社に転職すればいいのです。無責任にピーチクパーチク会社や上司の批判ばかり言っている人は、どんな環境に行っても所詮は無責任な人です。帰属の意識なくして一体感は絶対に生まれません。

　もしも、社内の一体感を高めようとお思いでしたら、全員参加型のイベントを行うのがいいと思います。それもボウリング大会やバーベキュー大会のように、ただ楽しいだけのイベントではなく、創り上げるのに多少は苦労するイベントがいいのです。いや、できたら思いっきり大変なイベントがいいのです。振り子の原理で、大変だったり苦しかったりするほど、その後にうまくいった時の達成感は大きくなるのですから。

　大石会計では一年のうち最も一体感が増す瞬間は、毎年1月に行う「経営フォーラム」の時です。会計事務所の繁忙期である年末年始に、本業は手を抜かずに時間外にみんなで力を合わせて仕上げます。学生時代の文化祭と同じ感覚になります。日中は授業を真面目に受け、放課後はクラスみんなで協力して完成させる。なんだか出来上がりをイメージするとワクワクしてきます。

　次回の「経営フォーラムは」1月26日(土)です。第一部の講演は全国にファンが多い中村文昭さんです。文昭さんの語りを聞いていると、誰もがうまくいくような気になってきます。人生観が変わってしまう人もいます。経営者はもちろんですが、社員の方にも是非とも聞いていただきたいものです。