コンビニ

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 コンビニなんて、看板によって多少の違いはあれども、どこのお店もそう変わらないというイメージはありませんか。私には国立市内にとても気に入っているコンビニがあります。コンビニですから売っているものは他店と変わらないのですが、漂う空気感が他のコンビニとは明らかに違うのです。

 少し変わったリズミカルな挨拶をしてくれるオーナーご夫妻と、よく教育されたアルバイトの若者たちの対応がとても気持ちがいいのです。何人もの人が、「行きたくなるコンビニ№1」と口にしていました。

 もう数年前のことです。夜中に中学生の娘の頼みで、バレンタインチョコレートの小分け袋を求めて24時間営業のスーパーやコンビニを何店か回ったのですが見つからず、たどり着いたのがそのコンビニでした。

 はじめはアルバイトの店員から求めている袋は売っていない旨を伝えられました。しかし、困った顔をしていると、「少しお待ちください」と言って10分ほど奥に消え、ほぼ希望通りのものを探し出してきてくれたのです。しかも、売り物ではないからお金はいらないと言うではありませんか。元々そのお店のファンでしたが、あり得ない夜中の対応には心から頭が下がりました。

 他からもそんなエピソードを耳にしていたお店でしたが、あるときからオーナーご夫妻はお店に出られなくなりました。聞くと、奥様が体調を崩されたらしいとのこと。

 それからしばらくすると、アルバイトの店員たちの対応が少しずつ変わり始めたのです。期待の水準が高かっただけにその落差は結構気になりました。高い評価を得るには長年の積み重ねが必要ですが、下がってしまうのはあっという間のことです。

 差別化が難しそうなコンビニでも差別化ができるということ、経営者が熱く語ることを止めて社員任せにすると文化は低下してしまうこと、どちらも小さなコンビニから学ぶことができました。やはり経営者は口を酸っぱくしつこく語り続けるのがいいのです。