アメリカのスーパーマーケットで顧客サービス1位のパブリックスが、小売店の顧客満足で、お客様が自社を離れていく理由について調査しました。
お客様が離れていく理由として挙がったのは、お客様自身の引っ越しや死亡、品質や値段など様々でしたが、中でもダントツの一番が「従業員の態度が気に食わなかった」というものでした。分かる気がしませんか。
この調査の結果に見られるように、小売業など顧客と直接的に触れ合うサービスを提供している会社にとって一番大切な要素は従業員の接客態度ということなのです。
パブリックス社に寄せられているお客さまからのお褒めの言葉は「食品の優れた品揃え」、「清潔で整理整頓が行き届いた売り場」、「自発的な手助け」、「キャリー アウト サービス(レジ担当者が品物を車まで運ぶサービス)」、「ミスをしたときの的確な処置」、「礼儀正しい、優しい、親切、フレンドリーな態度」、「顧客を個人として扱い、注意を払う態度」等々です。要するに従業員の所作や立ち居振る舞いにお客様は反応しているのです。
多くの人には、顧客満足の提供には人手とコストがかかるものだという固定観念があります。このお褒めの言葉のうち多少コストを要するものは食品の品揃えぐらいで、そのほかは従業員の行動なのです。人手やコストを心配する前に所作や心を込めた対応といったことをきちんとやっていくことが重要だということです。
顧客満足は社員の教育や意識づけでずいぶん改善されるのですが、その前に経営者がこのことに価値観を置いていることが前提となります。従業員が勝手にいい方向に変化することは期待できないのです。必要なのは経営者の意識改革だけで、ほかのコストはいりません。
「利益とは顧客満足の総和である」……こう言ったのは松下幸之助翁です。商売はお客様あってのものです。顧客満足が進むとリピート率が高まり、口コミによる増客で売り上げも利益も増えることになります。当たり前ですが、顧客満足が進まずして利益が生まれることはないのです。