社員がバカだから

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「最近の若いやつは」とはよく耳にするセリフです。こんなセリフはいつの時代にも言われてきたはずです。あなたも若い頃に言われた経験はありませんか。

 事実かどうか知りませんが、紀元前のエジプトの遺跡の壁にも「最近の若いやつは」と彫ってあるそうですから、きっと世界中で言われているのでしょう。そんなセリフを言うようになったあなたは、少しお年を召してしまったのかも知れません。

 「社員の出来が悪くて話にならない」「10を言っても11番目を察せられない」「バカな社員が辞めてくれてよかった」、こうなってしまうと少し聞き苦しく思います。なにが聞き苦しいかと言うと、自分の身内の悪口ほど聞き苦しいことはありません。いちばんのおバカさんはあなたなのではないかと言いたくなります。

 では、もし社員の出来が悪いとしたなら、どうしてそんな社員を採用してしまったのでしょう。あなたはその採用に関わっていなかったのでしょうか。あなたの会社は入社してから社員の指導教育をしてこなかったのでしょうか。

 「オレが若い頃は死ぬ気で頑張った」きっとそうだったのでしょう。だからあなたは今の地位にいるのではないですか。誰もがあなたのように知力、体力、人格を備えて死ぬ気で頑張ってしまう世の中でしたら、会社も国家も素晴らしいものになります。しかし、そんな中であなたは他の人たちに対して優位性を保つことができるでしょうか。

 社員は社長より何かしら劣っているところがあるから、つまり社長には比較優位性があるから体面が保てているということはないでしょうか。すべてにおいて社長より優れた社員でしたら、その会社に居続けることは難しくはありませんか。多少は出来が悪かったり、いい加減だったりするからあなたの会社にいてくれるのです。

 社員の愚痴をこぼしても、社員をへこませてみてもなんにも解決しません。それよりも社員の良いところを探して褒めることの方がずっと効果があるはずです。

 先日ある方の勧めで小説『少女パレアナ』(角川文庫)を読みました。事実は変えられなくても、ものごとの見方や捉え方を変えること(リフレーム)で、自分の気持ちをコントロールできることを教えてくれる意味深い小説です。感動的な小説ですから、みなさまもよろしかったらお読みになってはいかがでしょうか。