消費者金融のキャッシングコーナーから臆面もなく出てくる若者を見ると、時代の流れを感じてしまいます。もっとも、わたしが若かったころも丸井の赤いカードで目一杯借りていた友人もいましたから、貸してくれる相手が変わったということだけなのかもしれません。特別な事情があるのか、計算ができないだけなのかは分かりませんが、借り過ぎには気をつけて欲しいものです。
そこで、今回は例題を使って借り過ぎないために、みなさまと収支分岐点の確認をしてみたいと思います。
【例】借金をしているAさんは、1ヶ月の生活費として借金返済以外に200千円かかります。Aさんは収入のうちから20%を借金の返済にまわさなくてはなりません。Aさんは1ヶ月に最低いくらの収入を必要としているかお分かりになりますか。税金など面倒な要素は一切省いて考えてみてください。
いうことです。収入が250千円を超えると、その超えた額の8割の余裕資金ができて、また250千円に満たないと、その満たない額の8割の資金不足になるのです。収支トントンになるポイント、この場合は250千円が収支分岐点ということになります。
収入が280千円の場合………280千円×(1△20%)△200千円= 24千円(黒字)
収入が220千円の場合………220千円×(1△20%)△200千円=△24千円(赤字)
上記を会社の財務に当てはめると固定費が200千円、変動比率(=変動費÷売上高)が20%、そして限界利益率(=1△変動費÷売上高)は80%となります。損益分岐点=固定費÷限界利益率ですから、この会社の損益分岐点は次のようになります。
200千円÷(1△20%)=250千円……損益分岐点(収支トントン、つまり利益が±0となる売上高です)
実務的には、損益分岐点の計算は経費を変動費と固定費とに分けてしまうだけで簡単に終わってしまいます。ところが、経費をひとつひとつ検討していくと変動費とも固定費ともとれるものがたくさんでてきます。しかしこんなところで迷っていたのでは先に進みませんから、変動費は一部の例外を除いて、売上原価のうちの仕入と外注費とし、それ以外の経費はすべて固定費と決め打ってしまっても特に問題はありません。実務家は細かい数字よりも、だいたいの数字やおおよその傾向をつかむことが大切なのです。
このごろは財務ソフトが損益分岐点や損益分岐点比率を勝手に計算してくれるため、その計算式さえ知らない会計事務所スタッフもいますが、そんな人からは100年待ってもまともな財務アドバイスなど期待することはできません。一度あなたご自身で、会社の決算書や試算表を見ながら損益分岐点を計算してみてはいかがですか。新しい気付きがあるかもしれません。