効率がいちばんですか

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 さすがに最近の若い経営者には『いいモノを作りさえすれば売れる』と考える人は少なくなりましたが、年配の経営者には、今でもそのように考えている人はたくさんいます。あなたはいかがでしょうか。

 とびっきりいいモノや、とびっきりおいしいモノでしたら売れることは間違いありません。しかし、普通の中小企業にそれほどの差別化を図れるとびっきりのモノを持っている会社がどれだけあるというのでしょうか。

 たしかに高度成長期以前は、少しいいモノを作りさえすれば飛ぶように売れた時代でした。そんな時代は、いまで言う顧客第一主義などという考え方も一般的ではなく、ただ機能的に多少優れたモノを生産することに専念していれば良かったのです。効率よく大量に作ること、つまりムリ、ムラ、ムダを取り除く生産管理が当時の重要なテーマであったのです。

 もちろん『効率のよいモノ作り』は今でも大切なことではありますが、それ以上に肝心なことは『売れるモノ作り』なのです。ですから極端に言うと、たとえ効率が悪くても売れるものを作るほうが会社にとってはいいことなのです。
 要するに、企業の経営はコストに焦点を当てた効率が何にも優先されるのではなく、収益の獲得を最優先にしなくてはいけません。誤解されては困りますが、よい製品開発も、お客様に尽くすことも、社員に気持ちよく働いてもらうことも、すべては収益獲得のためなのです。

 これについては、お客様に喜んでいただいた結果としての収益か、収益獲得のためのお客様に対するサービス提供なのか、根っこの部分での考え方は大きく違うようにも思えますが、あまり気にしないでください。企業にとってはどちらも大切なことであり、収益の伴わないお客様の喜びも、お客様の喜びを伴わない収益もどちらも長続きはすることはないのですから。

 ちなみに、大量に作ることは大企業のもっとも得意とするところですから、そこに中小企業が参入しようとすると簡単にはね飛ばされてしまいます。逆に、大企業のもっとも苦手とするところは手間のかかることなのですから、中小企業は多少の手間がかかっても個性のあるモノ作りを目指すべきです。お客様は手間のかかったムリ、ムラ、ムダにこそ魅力を感じるのではないのでしょうか。