地方ではまだまだ実感はないようですが、東京では確実に景気の良さを感じるようになってきました。それは、大石会計のお客様である中小企業の業績にも表われてきております。まずなにより、業界を問わず人手不足感が増していますし、地価の上昇をみても一年前とはまったく違う雰囲気になっております。
しかし、今ここで景気の良さに乗じて業績を伸ばしている会社の経営者の方は、それで浮つくことなく着実な営業展開をして欲しいものです。なぜなら、今の好調さが景気という追い風に乗ってのものでしたら、それは実力とは少し違う要素も考える必要があるからです。将来、また景気が悪くなったときに落ち込んでしまうようでは、あなたの経営は他力本願と言われてしまうかもしれませんから、あまりいい気にならずに地道な努力を続けてもらいたいのです。
通常、企業の評価は売上高や業績といった通信簿によって判定されます。しかし、これは絶対評価であって景気のいい時代にはすべての会社の業績がいいということもあり得ますから、必ずしも実力を表しているとは限りません。本来的に企業の実力を計るのでしたら、商品力やサービス力など他社との競争力で評価されるべきですから、他社との比較である相対評価で見なくてはならないのです。
あなたの会社の今の業績の伸びが、実力か他力本願のものかを知りたいのであれば、業界でのポジショニングを確認するとよいでしょう。他社があなたの会社以上に売上を伸ばしていれば結果として当社はシェアダウンとなり、売上の伸びは実力ではない可能性が高いのです。したがって、売上が伸びることはめでたいことですが、会計事務所からもらった資料を見ても、対前期比で少しぐらい調子がいいからと単純に喜んではいられないのです。
大きなシェアを握った会社は、お客様に対する影響力も大きくなり、他社に比べて優位な立場での営業が可能になりますから、業界でのポジションはとても大切であります。中小企業の場合も、同業者の業績を入手することは困難ですが、業界でのポジションは社員数や来店客数、問屋等からの情報によって確認することが可能ですから、経営者は他社の状況にも注意を払っておかなくてはなりません。
いい企業とは優れた業績をあげられる企業であり、優れた業績を上げられる企業は同業者との比較の中で戦って勝てる企業であります。そして、同業他社と戦って勝てる企業は必ず優れた顧客サービスができる企業です。したがって、いい企業というのは、いつも横目で他社の動きを気にしながら優れた顧客サービスを提供できる会社といえます。もちろん、あなたの会社が他社の動向など気にしなくてもいいくらいの”トップブランド”になることが、もっとも素晴らしいことではありますが、そこまで達していない普通の会社は、売上アップだけではなくシェアアップも経営目標に掲げることをお勧めします。