5年間の経営計画を作ったら、逆算することで1年計画を作ることができます。ただし、ここで注意してもらいたいことは、単年度の計画は逆算するのであって、単年度計画を5年分積み上げたものが5年計画になるのではないということです。
中期の経営計画は当社が目指そうとする方向性を大胆に画いて欲しいものですから、達成の可能性や戦術の有無などを気にする必要はありません。反対に、単年度の計画については達成のための戦術がなくてはならないのです。売上アップのために、ただ頑張れと尻を叩くだけが経営ではありません。頑張りや根性だけで売上を上げられるのなら、もうとっくに上がっているのでしょうから。
それではどのように計画を達成するかという戦術は、経営者または幹部社員が作成することになります。これを末端の社員任せにしてはいけません。仮に売上アップを目標としたのなら、客数を増やすのか、客単価を上げるのか、客数を増やすためにはどのようにするのかなどと具体的な戦術を立てるのです。
社員はその計画に基づいて業務を実施するのみです。社員に対しては、細かいやり方まで指示することなく計画の達成だけを求めればいいのです。それで結果が出なかったとしても、社員に結果責任を問うてはなりません。社員が責められなくてはならないケースは、業務について計画の実施を怠ったときだけなのです。
そのためにも計画通りに実施されているか、そして計画と実績の差異は如何ほどかを定期的にチェックする必要があります。チェックを怠るとせっかく作った計画書も1年間机の中に眠ったままになるのです。
要するに、最後に結果が出るも出ないも経営者の責任でありますから、結果責任について責められるべきは経営者なのです。お店の売り上げが上がらないといって、経営者は社員を追及してはなりません。結果にまで責任を持てるような社員でしたら、いつまでも中小企業の社員でいることはないのですから。