グループ分けⅡ

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 組織は階層が多いほど、それぞれの階層でロスタイムが発生して、機動的な業務の実施ができなくなると先週のコラムで書きました。今回はその続きです。良かれと思って作る階層やグル−プには、他にもまだいくつかの注意が必要となります。

 まず、多階層は社長の意思の正確な伝達を困難にしてしまうということです。そもそも社長は、自分自身の意志を目の前の幹部社員にさえ正確に伝えることが難しいものです。経営者には魂とか空気感を大事にしている人が多く、そんな経営者の真意はよほど勘のいい社員でないと理解はできないものです。そのようなものが、いくつもの階層を通過するとなると、要件だけでもなかなか正確には伝わりません。それは例えば、伝言ゲームをイメージしてみてください。

言葉だけでもなかなか最後まで正しく伝わらないでしょう。要件だけでしたら紙やeメールで伝えることにより、正確に伝達することが可能かもしれません。しかし、社長が伝えたいことは紙に平べったく表せることばかりでないのは、もう既にお分かりのことと思います。

 そしてまた、グループごとに職務分担を明確にしすぎることもよくありません。職務分担表を作ると、書いてないことは自分の仕事ではないと思いこむ社員が出てしまいがちだからです。会社としてお客様に提供するモノやサービスは明確であっても、「私はどこまでやればいいのですか」とか「これは自分の仕事ではないのですが」などと、少しデキの悪い社員は自分のことしか考えられないものです。したがって、優秀な社員が少ないほど、職務をハッキリ示した方がいいと思われがちですが実際は逆なのです。デキる社員は、自分の担当業務でないこともお客様のため、会社のためとあれば何らかの対応をするものですが、ダメ社員は他の社員がいくら忙しくても「我、関せず」となってしまうのです。

 これは特に、会社としてお客様に対して失礼や失敗があった場合において顕著となるもので、失敗の中には一見誰の責任でもなく、あるいは不可抗力的なものもあります。そんなときに、悪いのは自分ではないとみんなが他人事に思ってしまうことがあります。これが一番いけません。何の仕事をするのかではなくて、この仕事は何のためにしているかと考えることが大切なのです。

 グループ分けや階層作りは経営者の意志を正確に社員に伝え、機動的に業務を実施し、生産性を向上させるためにあるのですから、くれぐれも逆の効果とならないよう、心してグループ分けしてもらいたいものです。