ネット通販の普及で増加の一途をたどる宅配便の配達個数、その数は年間36億個以上。国民一人当たりでは30個計算になります。宅配抜きには成立しない世の中ですね。
それにしてもAMAZONで本を買っても配送料は無料です。そのコストはいったい誰が負担しているのでしょうか。
いま、その宅配の再配達問題が話題になっています。年間にしたら9万人の労働力に相当する時間が再配達に費やされているそうですから宅配会社も大変です。
宅配会社の努力と競争の結果、私たちは便利さを享受できている一方で、サービスを提供する側では大変な思いをしている人が増えているのです。
人というのは一旦便利さに慣れてしまうと、少し不便になっただけで不満を言うようになります。
一昨年行ったニューヨークでは、道路は工事中でもないのに穴ボコだらけでした。世界一の大都市ニューヨークですらあの状態です。日本でしたら間違いなく苦情が出ます。改めて日本のすごさを実感しました。
しかし環境が良過ぎると、国民の我慢は足りなくなります。わが身を振り返ると偉そうに言える立場でもありませんが、職場でも、家庭でも、我慢が足りなくなっています。
ある会社の会議中に「寒いから暖房の設定温度を上げてほしい」と申し出た女子社員に対して、「寒かったら1枚羽織りなさい」と苦言を呈した外国人経営者がいました。もっともな話です。環境を自分に合わせるのではなく、自分を環境に合わせるのが原則なのです。
過度はいけませんが、社会生活を営むには我慢も必要です。『吾唯足知(われただたるをしる)』・・・・・・満たされ過ぎてはいけませんね。