先日ボランティアの税務相談を行なった際のひとコマです。品のいい女性が確定申告の相談に見えました。
源泉徴収表を見ると80歳近いのに見た目はお若く、2箇所からの給与収入は合わせて150万円ほど。申告に必要なので、年金収入額や配偶者・扶養家族の有無等を確認しました。
ご本人は無年金者です。ご主人も無年金で、かつて知人の借金の連帯保証人になった結果、自己破産を経して無職で奥様の扶養になっています。
「この歳になってもダブルワークです。私は死ぬまで働きます」と彼女は笑いながら言います。
「大変ですね。でも仕事をしているから80歳近くなってもお元気でキラキラしていられるのですね」の私の言葉に、彼女の目には涙が・・・
「息子はいるけれど面倒をかけずに死にたいので働き続けるしかありません」と明るく言ってのけます。
「人間万事塞翁が馬、人生は均したらみんな同じはずです。きっと後でいいことがありますよ。いいことが少なかったら、その分はお子さんやお孫さんに将来いいことが起こりますよ」と話すと、彼女の目からまた涙が溢れ、私ももらい泣きしました。
老夫婦二人が無年金で働いて年収150万円です。もう頑張らずに生活保護費を受給したらいいのにと思ってしまいます。でも言えませんでした。
もしもあなたが、健康で働けているのだとしたら、それだけでも幸せなことなのだと思います。