小町
新卒で入社した配属先の上司がとにかく厳しい方でした。
仕事だけでなく、言葉遣い、立ち振る舞い、見た目も重要な職種でしたので、履いている靴にも注意を受けました。なにをやっても怒られる…すっかり苦手意識が芽生え、萎縮しすぎて、言われている内容なんてまったく頭に入ってきません。毎日、どうしたら怒られずにすむのだろうとそんなことばかり考えていました。
そんなある日、苦手な上司と2人きりで休憩に出なくてはいけなくなりました。向かいあって席に着きましたが、相手も私が恐がっていると気が付いていましたので、当然休憩なんてできる雰囲気ではありません。緊張からか意味もなく涙が出そうになり、カップを持つ指が震えました。
沈黙が続く中上司が口を開きました。「3ヶ月間だけ我慢しなさい。3ヶ月であなたを育てる為に厳しくするから。」この状況に3ヶ月という期限がついたこと、上司がどんな意図で私に接しているかが明確になったことで、ものすごく気持ちが救われたことを覚えています。
振り返ってみると、たしかに直接的には厳しかったですが、ほかの先輩達から私が注意を受ける時は、自分の指導不足として一緒に注意を受けてくれました。お客様にうまく対応できない時はすぐに間に入ってくれました。なぜ注意を受けたのか、なんの目的があってこの業務を行なっているか、きちんと説明をして私の成長を促してくれました。
誰よりも私を気にかけ、見守ってくれていました。上司の接し方は、私の人生観・仕事観に多大な影響を与えてくれました。社会人になって初めての上司が彼女であったことに感謝しかありません。
私には現在、幸いにも後輩がいます。後輩と接するとき、ふと上司の厳しさと優しさを思い出します。私が受けた素晴らしい指導を、少しでも彼らに伝えることが上司への恩返しになると考えています。