人材こそが最大の資産といいます。人材育成はすべての企業に共通する課題の中で、最も重要であり、最も難しいものです。
人材育成において妨げになるのは、上司が部下と接する際、上司が常に正しく、部下が常に未熟だという意識です。
人材育成は会社の都合によるものという意識も捨てなければいけません。「すべては、会社の都合なんだ」と思われたら、社員は本気になれません。
人材育成の目的は、社会人として、人間として成長させることで結果として、会社の生産性につながると考えることです。会社のためではなく、社員自身の人生のためなのです。
人材育成の問題は、人間関係の根本的な原則から考えると簡単に解決できる問題です。しかし、その原則から外れたとたんに難解な問題となり、どんなに時間をかけても解決できなくなってしまいます。
その原則とは、「他人を変えたければ、自分を変えれば良い」ということです。相手をどのように指導するかではなく、自分がどのように考え、どのように行動するかでしかありません。
人が最も影響を受けるのは、知識やスキルではありません。出会った他人の生き方です。人は人でしか育てることができないのです。
したがって人材が育たない原因は、育てようとする上司の側にあると考えることが必要なのです。相手のせいにしたところで、何も解決することはありません。
こちらが相手を育てようとしなくても、相手はこちらから影響を受けて、それに合ったように育ってしまいます。つまり、尊敬する人の前ではやる気になり、そうでない人の前ではそれなりになるものです。
自分が見本になればいいのです。相手に対してどう接するかというより、相手の前でどう生きるかということなのです。
相手は自分の鏡、つまり相手がそうしているのは、自分がそうしてきたからです。目指すは、部下の心のコップを上向きにできる上司です。ああ、今日も反省です。
山本五十六
やってみせ 言って聞かせてさせてみて 誉めてやらねば人は動かじ
話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば人は育たず
やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば人は実らず