転職の先輩より

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 新型コロナがどのように影響しているのか分かりませんが、世の中の中途採用市場は完全に売り手市場です。可能であればこんな時は無理して採用しない方がいい気がします。

 反対に求職者にとってはチャンス到来です。しかし情報量の少ない中小企業への転職は、そのものにリスクがあるので事前に判断材料をリスト化しておいた方がいいでしょう。

 応募者の多くは仕事内容や教育システム等を気にします。一方で昇給額、生涯賃金、社内の人間関係、男女の待遇差等はこれまで一度も聞かれたことがありません。聞けばいいのに、聞き難いのでしょうね。聞き難いことを聞き合うのが面接です。

 大石会計では採用面接に何時間もかけます。面接は採用する側とされる側が理解し合う場ですから、お互いが納得いくまで時間をかけたいのです。面接が1時間以内で終わったら間違いなく不採用のケースです。

 一般に会社にとってマイナスと思える情報もこちらから伝えるようにしています。転職した後で「こんな筈ではなかった」と思われたくないですから。

 私が転職するとしたら、判断基準の一番目は会社そのものが自分に合うかどうかです。合わなければまた転職することになり、その度に待遇が悪くなる可能性もあります。

 中小企業は社長の人生観が企業文化に色濃く表れるので個性的な会社が多いものです。その会社で末長く働き続けようと思うのなら、会社の文化と自分の価値観が合うかどうかは大切です。面接の場で社長の考え、特に社員に対する思いを遠慮なく質問したらいいのです。

 結婚を例にすると、私が大切にしたいのはお互いの価値観です。はじめからピッタリ一致はないにしても、お金や善悪、正義に対する価値観がまったくズレているようでは一緒になることが不幸の始まりです。

 会社と社員の関係もそれに似ています。かつて大石会計で「方向性が違う」と言って辞めた社員がいました。お客様応対や社内での振る舞いなど税務会計に直接的に関係のないことまで会社から求められるのが苦手だったようです。仕方がありません。

 これは正しいとか正しくないとかの話ではなく、合うか合わないかなのです。長く働こうと思ったら、社風、仕事そのもの、待遇はしっかり確認して失敗のない転職にしてもらいたいものです……転職の先輩より。