秋吉
以前から興味のあった「日本語の歴史や言霊(ことだま)」の勉強会に参加しました。復習も兼ねて「こんにちは」と「さようなら」の語源について少しお伝えしたいと思います。
「こんにちは」の語源は実は「太陽」なんだそうです。「おひさま」「日輪」「お天道様」と太陽にはいくつかの呼び方がありますが、昔の人は太陽のことを「今日様(こんにちさま)」と呼んでいたそうです。ちなみに今でも太陽のことを「こんにちさん」とか「こんにち様」と呼ぶ地方はあるそうです。そして「こんにちは」の後には「お元気ですか」と続きます。「元(もと)」の「気」ですからこれも「太陽の気」を指します。
八百万の神が居るとされる日本では大昔の人は「全ての人間は太陽の神様である天照大御神の命を引き継いでいる」と信じていました。つまり私達全員が太陽から命を分け与えられている太陽の分身ということになります。
だから人と会うと「おっ、太陽さん、太陽のエネルギーのおかげで明るく生きていますか?」という意味で「こんにちは。お元気ですか?」と挨拶をしていたわけですね。何だか不思議な感じですが、感覚としては「初日の出」に向かって柏手を打って崇め挨拶をするのと同じようにお互いに挨拶をしていたということでしょうか。
そして「お元気ですか?」と声を掛けられ「はい。元気です」と答えると更に「さようなら、ご機嫌よう」と続きます。現代では「さようなら」は別れの挨拶ですが「さようなら、ご機嫌よう」がセットで出会いの時の挨拶だったそうです。ここで「機嫌」は「気分」「気持ち」を意味しますので「さようなら(ば)、気分が良いでしょう」ということになります。
「こんにちは、お元気ですか?」
【はい。元気です】
「さようなら。ご機嫌よう」
というのは
「やあ、太陽さん、あなたは太陽のエネルギーをもらって明るく生きていますか?」
【はい、太陽と一緒に元気に生きていますよ!】
「そのように太陽と一緒であれば気分も良いでしょうね」
という意味になります。
不思議ではありますがお互いに力が湧いているような明るく元気な挨拶ですね。
昔の日本人は言葉に宿る力をよく理解していましたが、そんな「言霊信仰」は現代でも無意識のうちに生活の中に溶け込んでいます。例えば日本人はめでたい席では「忌み言葉」を避けます。結婚式では式の閉会を「終わり」とは言わず「お開き」と言いますし「切れる」「壊れる」「別れる」といった言葉を使わないのも『言った言葉が現実化する』という言霊信仰の名残だそうです。
『言った言葉が現実化する』からこそ、使う言葉には注意をしなくてはいけませんね。日本語にはまだまだ知らない力が沢山ありそうでこの後の勉強会も楽しみです。