吉田
最近、遺言書作成に関するご相談が特に増えていますので情報発信を致します。
遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的に利用されるのは「自筆証書遺言」「公正証書遺言」になります。ついて見てみましょう。
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
概要 | 公証人役場(病院等への出張もできます)で、2名の証人の前で遺言内容を公証人に申し述べ、公証人が遺言書を作成します。 | 自筆証書遺言を作成し、日付、氏名を記入の上、押印する。 |
メリット | ・公文書として、強力な効力をもつ ・家庭裁判所での検認手続が不要 ・死後すぐに遺言内容を実行できる ・原本は公証役場で保管されるため、 紛失・変造の心配がない |
・手軽でいつでも書ける ・費用がかからない ・誰にも知られずに作成できる |
デメリット | ・証人が必要 ※成年であることが必要で、推定相続人やその配偶者及び直系血族等はなれない ・費用がかかる |
・不明確な内容になりがち ・形式の不備で無効になることがある ・紛失や偽造、変造、隠匿の恐れがある ・家庭裁判所での検認手続きが必要 |
私も相続の仕事を長くしていますと色々な案件を対応しています。
- 自筆証書遺言があり家庭裁判所で検認手続き(検認は遺言書の有効・無効の判断はしません)を行ったが、遺言内容が法的要件を満たしておらず(手が不自由で知人が代筆・日付の記載がない・押印がない・夫婦共同の遺言で配偶者が記載)遺言が使えずに遺産分割協議での分割になった。・・・かなりのケースがあります
- 自筆証書について相続人の一人が筆跡鑑定人をつれてきて確認を行ったり、遺言者の意思ではなく無理やり書かされたともめた。
- 遺言書の作成時期には遺言者は意思能力がないので遺言無効の裁判をおこされた。
- 子が親の遺言書の作成を希望したが親が認知症で意思能力がない状態のため遺言書を書くことができなかった。
- 遺言書がない状態で相続が発生して相続人の一人と連絡がつかず(戸籍の附表には外国の国名のみ記載)その連絡が大変であった。
- 子がいない夫婦で夫の死亡により妻は財産を全て相続するつもりであったが、遺言書がないため夫の兄弟と遺産分割協議をして辛い思いをした。
- 遺言書はあったが他の相続人から遺留分の減殺請求がされた。
- 自筆で遺言書を書くこともできなく、公正証書遺言を公証人と面談するまで体調がもたないと予想されるため危急時遺言の作成(私他2人で口頭での聞き取りにより遺言書を作成)した
自筆証書遺言については作成方式の緩和も行われております。
平成31年1月より 従来は「自筆証書遺言」は遺言の全文を遺言者の自筆であることが要件でしたが、財産目録のみについて、自筆でなくてもよいこととされ一定の要件はありますがより作りやすいものとなっています。
他にも令和2年7月より「自筆証書遺言保管制度」が創設され、指定された法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。
自筆証書遺言書保管制度のメリットは次の通りです。
① 遺言作成後の紛失、隠匿、変造対策になる。
② 相続人が遺言の存在を把握できずに相続手続きを終えてしまうようなケースの予防になる
③ 法務局に本人が出頭し、未開封の遺言を提出して手続きを行うため、遺言が本人の意思に基づいて作成されたものであり、かつ、変造、偽造の無いものである信頼性が高まる。
④ 家庭裁判所での検認手続きが不要になる
遺言書は自分の想いを遺せるツールです。ご家庭によって色々な悩みがあると思いますが、大石会計では遺言について初回は無料相談(ご来所による面談)を行っております。ご心配なことがある場合はお気軽にお問い合わせください。