ジャパン・ブルー

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久保田

 NHK大河ドラマ「青天を衝け」、熱血で勉学にも武道にも励む渋沢栄一の魅力はもちろんのこと、武蔵国・血洗島村での渋沢栄一を取り巻く農村の舞台と徳川慶喜を中心とした幕府側の舞台が交互に展開していくドラマ構成が幕末の雰囲気を分かりやすくしているので気に入っています。

 また、渋沢栄一は熱心に論語を学んだ方とのことで、大石会計事務所で月に一度「論語教室」に参加している身としても興味深い場面がたくさんあります。
ですが、私が一番熱心に見ているのは藍栽培の場面です。

 年明けに、草木染が趣味の友人から、「藍の生葉染めは綺麗なエメラルドグリーンに染まるよ」という言葉と共に蓼藍(たであい)の種をもらいました。その時は「へー、藍染って葉っぱでできるんだー」という軽い気持ちで忘れかけてましたが、「青天を衝け」が始まり、藍農家の生活、藍の育成のあれこれ、藍玉を作る光景が映し出され、見ているうちにだんだん藍の種を育ててみようという気持ちが強くなりました。テレビの力は恐ろしいと感じています。

 藍は、西洋人からジャパン・ブルーと言われるほどの美しい色合いがあるのみならず、虫よけ、マムシよけの効果があるので、昔の人は農作業をするときには必ず藍染のものを身につけていたそうです。江戸時代には庶民から武士まで広く愛され、日本で大量に作られていた天然藍ですが、江戸時代末期からの安価なインド藍の輸入、合成染料の輸入により徐々に衰退がはじまり、第二次世界大戦中は食料栽培を最優先させるために藍の栽培が禁止され、藍の生産は途絶える寸前になりました。

 そんな中、徳島の一人の藍師が命がけで山の中で秘かにタデ藍の栽培を続けたことにより、藍染の伝統が戦後にも受け継がれたということを知り、感動しました。日本の伝統の中には、戦争や大きな災害時、困難な時にも命がけで密かにそれらを守り続けていた人がいたからこそ受け継がれているものがたくさんあります。

 今のコロナ禍では、各地の祭りなどの伝統行事、歌舞伎をはじめとする伝統芸能も自粛せざるを得ませんが、どうにかして後世に繋いでいって欲しいと思います。今週末、栄一がそろそろ江戸に行ってしまいそうな雰囲気で、藍栽培の場面が見れなくなってしまうのが残念ですが、プランターに植えた藍の芽が出てきたので、観察を楽しみます。

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