高村
今日、町中を歩いていて歩道橋を渡った際、ふと小学生の頃に起きた、ある事件を思い出しました。
確か四年生の頃でした。その日、いつものように家を出て湖畔沿いの道を通り、歩道橋を渡り登校しました。しかし、朝の会は始まらず、私と同じ通学路を使う生徒だけが校庭に集められました。何が何だかわからないまま校庭で友達と喋ったりしていたのですが、しばらくすると私だけが校長先生に呼ばれました。
校長先生いわく、私の登校ルートにある歩道橋、その下を車で通った際に、歩道橋の上から小学生に石をぶつけられてガラスを割られたという方が、その犯人探しにやって来ていたとのことでした。
いわゆる面通しをしていたのです。そして私が犯人だと断定されました。
被害者の方の証言によると、まず、犯人は青い半袖のTシャツだったそうです。私は青い半袖Tシャツでした。集められた他の生徒の中に、青い服を着ているものは居ませんでした。
そして、歩道橋の途中で立ち止まり下手に構えていて何をしているんだろうと思っていたら、石がぶつかったと。これにも私は心当たりがありました。実はその日の前日、ブヨに太もも内側を刺され、登校中、ちょくちょく立ち止まっては内ももを掻いていたのです。歩道橋の途中でもやった記憶がありました。
しかし私は何も投げていません。私は必死に弁明しました。登校時、私の十メートルほど後に下級生の女の子2人がいたので、それも伝えて何か知っているか確認もしてもらいましたが、2人は何も知らないということでした。
状況的に被害者が見たのはほぼ確実に私で、無罪を証明するのは不可能だと、子供ながらに悟りました。さらに、校長は私を犯人だと決めつけていました。怒鳴られたりはしませんでしたが、個室に連れて行かれ、1時間、2時間、延々と諭されました。
そして私は諦め、自分がやったと嘘をつきました。
嘘の自白をしてしまったので、両親にも本当のことは言えませんでした。友人たちも、知らされていなかったのでしょう、誰もこの件に触れてきませんでしたので、今の今まで誰にもこの話をしたことがありませんでした。
決めつけや思い込みは目を曇らせます。気をつけましょう。
ふと思い出した、悲しい思い出でした。