先月の末に、愛用している「ごはん土鍋」の内蓋と外蓋を不注意で割ってしまいました。15年ほど前に、国立の大学通りを歩いているときに今は無い(と思われる)瀬戸物屋さんの店頭に並んでいたのを一目見て、そのフォルムの美しさに惹かれて求めたものです。たしか、3,000円だったと思います。瀬戸物屋さんも「美味しいご飯が簡単に炊けるんですよ!」と一押しでした。
土鍋でご飯を炊くのはこの時が初めてでしたが、求めた「ごはん土鍋」は火加減を途中で変える必要もなく、火にかけて15分で炊け、蒸らす時間を入れても電気炊飯器よりも早くて美味しいごはんが食べれるので重宝していました。
蓋を割ってしまった時のショックは言い表せません。
陶器が割れたときといえば金継ぎ?と考えましたが、本漆を使うと完全に使えるようになるまで3か月かかることなどもわかり、同じものを買い替えることに決めて探し始めました。
今は画像検索があるので、同じものを探すのにも便利な世の中です。三重県四日市市の江戸時代から続く万古焼「大黒窯」の商品だとわかりました。ウェブサイトに15年前と同じ形ものが売っていることにも驚いたのですが、各合数ごとに、胴、外蓋、内蓋が個別に注文できることに衝撃を受けました。
早速、窯元に電話で「15年前に購入したものを使っていたのですが、現在販売している内蓋と外蓋でも合いますか?」と問い合わせたところ、「もう何十年も同じ形で変わらずに作っていますので大丈夫ですよ」とのこと。その場で注文したら次の日には手元に届きました。
携帯電話、パソコン、家電など、数年すれば型が変わってパーツもなくなり、修理するよりも新しく買い替えた方が安くて速い時代に、数十年も変わらずにパーツが割れても同じものが取り寄せられれて使い続けることができるということ。
今回の蓋割れ事件によって、日本が大切にしてきたモノづくり、モノを使い続けるという精神を改めて実感することができました。
柳宗悦の「雑器の美」が青空文庫で読めるようなので、再読してみたいと思いました。