佐々木
その理由は様々ですが、世の中には発表され未完とされる物語が数多くあります。小説では宮沢賢治『風の又三郎』太宰治『グッドバイ』尾崎紅葉『金色夜叉』、F・スコット・フィッツジェラルド『ラスト・タイクーン』、映画でも結末が続きを予感させるように終わり、いまだ続編が作られていない作品もあります。
語られなかったとされる結末を想像する時、私は作者の心情に思いを馳せます。続きを書きたいと思っていたのか、それともすでに語りつくされた未完という名の完結であるのか。
物事や一生は思い描いた通りに進むこともあれば、ままならないこともあります。その時々に残ったもの、残せたこと、残せなかったもの、それらを物語の一部と思うのならば慰められる気持ちもあるのでしょうか。
そんな中、三浦健太郎『ベルセルク』の連載再開が発表されました。こちらは長く連載されていた漫画なのですが、作者である三浦氏が亡くなり未完となるはずであったところ、氏より構想を聞いていた森恒二氏が監修し、アシスタントの方々が物語を完結まで描き上げるそうです。
壮大な作品のドラマと、作者や携わる方々の思いを受け止めるべく、楽しみに読み進めたいと思います。