大石会計のグループ事業の中には社会保険労務士業があります。私は社労士さんを採用する際に面接で必ず聞く質問があります。
「あなたはどんな社労士になりたいですか?」「社労士として誰の役に立ちたいですか?」・・・8割の社労士さんからは次のような回答が返ってきます。
「労働者の力になりたい」「労働者を助けたい」・・・はじめのころ私はこの回答に戸惑ったものでした。そこで私は次の質問をします。
「では社労士の報酬はどなたからいただいているのですか?」・・・ここで初めて矛盾に気付く人が多いのです。ユニオンの顧問社労士ならともかく、普通は顧問料をくださるのは会社です。
社労士さんが学んできた法律は労働者や弱い立場の人たちを守るための法律です。だからと言って、そのような回答になることが無理もないとは私には思えません。
経営者が儲かれば社員が損をする、社員が得すれば会社が損をする・・・社労士にその思考がある限り本当の意味で会社の役には立ちません。少なくともドロ船に乗った乗員には十分な待遇など期待できないのです。
経営者と社員は同じ船に乗って同じ港を目指す者同士、船上での役割が違うだけだと私は考えます。目指すのは乗った船の全乗員がいい思いができる、そんな船づくりです。
社員の権利を守ることにばかり意識を向けるのではなく、社長のお考えをより良い方向に導いて、社員がやる気になるような組織づくり、それこそが我々の大切な仕事ではないでしょうか。
それが出来るのが人事の専門家である社労士であり、中小企業に深く関わる税理士事務所の大切な仕事だと私は信じています。
『金持ちを貧乏にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない』・・・マーガレット・サッチャー元英国首相