私が税理士事務所を開業したのは1989年8月、29歳の時でした。いま思えばバブル景気の最中だったのですが、当時はまだバブルという言葉は存在していませんでした。
起業前は会計事務所勤務でした。税理士資格は持っていたものの当時の年収は370万円程度で、それが私の勤務時代の最高サラリーでした。バブルとは無縁です。
株式市場は賑わい、サラリーマンから主婦まで株式投資に夢中で、株式投資ができない企業の財務担当者は無能とまで言われました。私も開業した平成元年末に少しお金が入ったので初めて某商社株に1000株だけ投資しました・・・儲かりませんでした。
当時、地価も恐ろしい勢いで値上がりました。日経平均最高値は平成元年末でしたが、不動産の値上がりはそれからまだ3〜4年続きます。
私には株式投資のセンスはありませんでしたが、事業は極めて順調でした。ところが人手が必要になり採用したくても人材がいません。好景気の中で中小企業に入社しようなどという奇特な人は少なかったのです。
浮かれた時代には苦労して資格を取ろうなんていう人は少ないものです。大学新卒者の3分の2は上場企業に就職できました。そんな時代が1992年頃まで続くのです。
以上に書いた状況は、昨今のニュースを見て思い出だしたことです。なんだか現在の日本にとても似ている気がしました。
先週、日経平均はバブル期の最高値を更新し、日銀総裁がインフレ状態にあると宣言しました。昨年の23区内新築マンションの平均価格は1億円越え、国の税収は3年連続過去最高更新中で、業界や会社を問わず人材不足です。
そうならないといいのですが、30年前には地価も株価も急激に下がり、企業はリストラしました。所謂バブル崩壊です。いまの日本は浮かれていられる状況にはないと思います。急激な人口減が始まっている分、当時よりも厳しい時代が来たとしても不思議ではありません。
これには、いったいどのように備えたらいいのでしょうか。