いろんな業種に繁忙期というものがありますが、私ども税理士事務所にとって所得税確定申告が佳境を迎える今が正にその繁忙期です。
社員が総動員で仕上げた数百件の確定申告書のチェックをしていると、違和感が満載の申告書に出くわすことがあります。
例えば、個人事業なのに連続して赤字を続けている申告書です。創業初年度ならともかく、基本的に個人事業に赤字なんてありません。
そこが法人経営との違いです。中小法人が赤字になる多くのケースは社長が給料を取り過ぎるからです。社長が給料を600万円もらって赤字が100万円という会社は、個人事業に例えると500万円の黒字ということです。
ところが、そんな簡単なことに気づかないのが素人です。知らないが故に間違いを起こすことがあります。どんな間違いかというと、事業の赤字申告を続ける脱税です。
私たち税理士は、個人事業で赤字が出ていると脱税かもと疑います。税務署でもないのに疑うという表現はどうかと思いますが、税務調査で痛い目に合う前にご指導申し上げるのも私どもの仕事です。
個人事業の赤字は、親や配偶者に扶養されているのならともかく、何年も続けられません。それが現実だとしたら、廃業して勤めに出る方がいいのです。普通はそうするしかないのです。
もちろん夢を追うがために、本当の赤字を続けている資金的裏付けのある恵まれた人は例外です。
税務署員に分からないように脱税したいのなら、私たち税理士事務所に見抜かれるようではダメです。税務署員はプロですから素人が考えるようなことはお見通しですから。