3年で辞めた男

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20161003

 先日、かつて在職していた地方銀行の上司と数年ぶりの食事会がありました。たった4人だけのささやかな集いです。

 私が退職したのは25歳のときですから、かれこれ30年以上前の上司たちです。ありがたい話です。

 89歳の元支店長、71歳の元支店長代理、58歳の先輩、そして56歳の私……当時は30年後にこんなことが行われていようとは想像できませんでした。

 たったの3年しか在職せずに辞めていった若者が、その後その会社とどのように関われるでしょうか。25歳で去った者など、すべての縁が切れても不思議ではありません。

 思い起すと当時の銀行は、仕事が終わり帰宅するのはいつも23~24時。理不尽なことも多く、今風に言えばブラックというところですが、そんな会社は少なくありませんでした。

 なによりも私たちのやる気の原動力になったものは、目の前の魅力的な上司でした。その上司を応援したい気持ちで先輩と心ひとつになって頑張るのですから不思議です。

 そして多くの場合、頑張ると成果が出ます。私にとってはそれが成功体験の原点となったこともまた、ありがたいことでした。

 結果として、その上司はたいした出世はできませんでした。そもそもご本人が上昇志向の強くない方でしたし、そこがまた魅力でした。だから30年経った今でも慕われ続けるのでしょう。

 サラリーマンとしての成功はありませんでしたが、30年経っても当時の部下が集うのですから、人としては大成功ではないでしょうか。

 世代を超えてお互いが認め合い、褒め合い、いじり合い、そして応援し合う・・・そんな関係が30年も続いているのですから素敵です。

 一方で、わが身を振り返り、その上司のように出来ているかと問われると、ああまた今日も反省です。