私の税理士としての開業は、29歳のとき、新婚生活を送っていた木造アパートにPCとコピー機を持ち込んだだけの簡単なものでした。事務所を外に借りたくてもお金がなかったのです。
最初の目標は外に事務所を借りることで、さらに夢の中では、「いつか事務所兼用住宅を建てられたらなあ」と思ったものです。1階が事務所で、2・3階が住居なんてのが理想でした。
結局その夢はかなわず、事務所はいまでも賃貸のままです。でも、それが結果オーライだったと今では思っています。
自宅敷地内の事務所でやっている人を見ていると、多くの人がその事務所の館(器)の大きさに縛られてしまっているように思います。
事業が拡大すると事務所はすぐに手狭になってしまいます。しかし潜在意識は替えることのできない器に自分たちを合わそうとするため、結果としてビジネスに制限をかけてしまうのです。
自社ビルで営業している同業者の方を見ていると、そう思えて仕方がありません。何十年経営してもその器から出ることができないでいるのです。そもそも出ようとも思っていないのでしょう。
狭くなったら引っ越す。事業では、ヤドカリのように自分に合った器を見つけるのがいいのです。さらには少し広めで贅沢な器でしたらなおいいですね。潜在意識が、その器に相応しい自分たちになろうとするからです。
大石会計は創業から4回の引越しを経て、現在は400㎡を超える事務所で30人の社員で営業させてもらっています。もしも、住居兼事務所を購入していたらと思うとゾッとしてしまいます。
経営は自分に制限をかけないことが大切です。発想に制限が少ない人の方が成長は早いものです。脳天気なくらいに前向きさ、根拠のない自信、そんなのがいいのです。