私は、これから起業しようとしている人に必ず忠告することがひとつあります。
それは共同経営をしないことです。その理由は、揉めるからです。他人が役員になることは結構ですが、その役員が出資するとなると話は別です。
もともと出資し合って共同経営をしようとするのですから親友であったり、尊敬しあう同僚であったり、お互いがとてもいい関係のはずです。
しかし、そのいい関係はほぼ確実に壊れます。私の25年の経験でも、上手くいくケースは50社に1社です。
業績が悪くて揉めるのはお分かりだと思いますが、業績が良くても揉めたり内紛を起こしたりします。役員報酬を2000万円以上もらっていても分裂した例もあります。
誰でもはじめから揉めるとは思ってはいません。経験不足や不安解消のために甘い気持ちで共同経営などしないことです。
仮に共同経営をするのだとしたら、トップが圧倒的多数の出資割合である前提で、立場の上下関係がはっきりしていること、技術と営業などお相手を認め合って補い合える関係であること、お互いが人格的に素晴らしいことなど多くの条件をつけたいところです。
もちろんソニーの盛田昭夫さんと井深大さん、本田技研工業の本田宗一郎さんと藤沢武夫さんのように素晴らしい結果を残した例もあります。それでも普通の人は盛田さんや本田さんのようにはなれないのです。友人を失いたくなかったら止めておいたほうがいいでしょう。