社長は多くの経営判断を自分一人でやるしかありません。中小企業の命運は社長の経営判断次第です。社員が悪くて潰れた会社など聞いたことがありません。
誰が考えても同じ答えが出るような判断を経営判断とは言いません。「AもいいがBもいい」、「やるべきか、やらざるべきか」、「採用すべきか否か」、「右も危険、左も危険」……正解のない問いに答えを求められるのが経営判断です。
資金や人材などの経営資源が乏しい中小企業では、社長は出来ない理由、やらない理由をいくらでも並べることができます。一番簡単な判断は“やらない”という判断ですが、“やらない”ばかりで成功している会社は一つもありません。
また、どちらかといえば強気でワンマンなのが経営者の特徴です。誰のチェックも入らない中小企業の社長は裸の王様になりがちです。傲慢さ、うぬぼれ、人間性の欠如……なかなか忠告してくれる人はいません。
そしてさらに言うと、経営判断以前に、上手い投資話に乗った、ギャンブルに狂った……会社とは関係のないところの躓きが会社をダメにしたケースも少なくありません。これでは一所懸命会社のために頑張っている社員が浮かばれません。
社長の考えを部下に正確に伝えるのが幹部の仕事と先週のコラムに書きましたが、幹部社員がこのような社長の実情を知ったのなら、勇気を出して止めるのがいいのです。会社が潰れたら社員の人生も変わってしまうのです。潰れて人生設計が狂うくらいなら社長に進言するのがいいのです。
それで社長が変わらなかったら……残念ですが、それはもう諦めるしかありません。クビと言われたら……これも仕方がありません。もっといい、尊敬できる社長を探して、新しい社長の下で働く方がいいのです。