社長のベンツ

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「社員は社長のベンツのために働いているのではない」……経営者向けの講演会でよく聞く言葉です。昨日も聞きました。ろくに仕事もせずに贅沢三昧している社長が批判されるのはもっともな話です。

 しかし私は、その度にどう反応すべきものかと困惑してしまいます。生意気ですが、私の車もベンツだからです。といっても、ドイツではタクシーに使われているミディアムクラスなのですが。

 わが愛車は、トヨタ車では起こりえないような癇癪を時々起こしますが、もう11年も乗り続けているので深い愛着があります。長く乗れるので、国産車を2~3回乗り換えたと思えば安上がりですし、高い満足感があります。

 「どうしてベンツ?」と聞かれると少し困るのですが、単に工業製品としてではなく文化や思想が気に入っているとしか言えません。

 しかし、工業製品としてのコストパフォーマンスを求めるのでしたら、絶対に日本製です。値段の手ごろさと、故障の少なさで、日本車の右に出る車はありません。

 自己弁護と言われるかもしれませんが、誤解を恐れずに言うと、私がクライアントの立場でしたら、カローラに乗る税理士よりもBMWに乗る税理士に仕事を頼みたくなります。ヨレヨレの洋服を着ている弁護士よりピシッと決めている弁護士に依頼したくなります。さらに言うと、流行らない医者よりも繁盛している医者に診てもらいたくなります。

 ただし、ひとつ肝に銘じておかなければならないことは、100年企業の経営者の多くは倹約家だということです。そこを分かった上での経営者としての振る舞い……いつも反省ばかりです。

 仕事をがんばって、社員に慕われ、家族や趣味、地域のために時間そしてお金もバランスよく使える。それが私にとって理想の生き方です。