人間は基本的に環境の変化を嫌います。それがたとえ良い方向への変化だとしても、脳はその変化に抵抗を示してしまうようなのです。
会計事務所のスタッフがお客様の経理の仕組みを変えようと提案するときにも、経理担当者が抵抗を示すことは珍しいことではありません。
将来どのように良くなるかよりも、今のやり方が変わることに脳は恐怖心を察知し、自己防衛システムが働いてしまうようです。ですから、挑戦的な場面に出くわすと大抵の人がそれに抵抗を感じるのは当たり前のことなのです。
強いものが生き残るのではなく、賢いものが生き残るのでもない。変化に最も対応できる生物が生き残るのだと言ったのは進化論のチャールズ・ダーウィンです。この適者生存の概念は企業経営においてもそのまま当てはまります。
企業は存続できなくなった瞬間にその意味を失いますから、企業における目的のひとつは存続することそのものでもあります。最強になって存続できるのであればそれもいいのですが、企業も大きくなると官僚的になり守りに徹することで変化への対応が遅れてしまいがちですですから注意が必要です。
数十年にわたりお客様に愛されている風月堂のゴーフルや永福町大勝軒のラーメンは、伝統の味を保ちつつもお客さまに気付かれない程度に途中で幾度となく味を変化させていると聞きます。怖いのはお客様の飽きとか慣れなのです。
企業も十年一日のごとく過去のやり方を大切にしているようではいけません。商品だけでなく、社員さらには顧客さえも5年で25%以上が入れ替わるような企業でなければダメだと主張するコンサルもいるくらいです。5年前と同じことをやっていてはダメなのです。