来期を語れ

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 会社の通信簿である決算書の数字を見た社長からは、その過去の成績に対してのコメントを求められます。経営者としては、原価率や労働分配率が高いとか、交際費の使い過ぎだとか一般的な会社と比べてどうなのか気になるところでしょう。

 もちろん他社との比較は大切です。しかしさらに大切なことは、社長が1年前にイメージしていたことと現状との間にどれだけのズレがあったかを検証することです。そのためにも、社長がどうなりたいのか、何を実現したいのかを予め表明しておくことが大切なのです。ですから私は、決算の打ち合わせの時には社長から来期の目標を聞くようにしています。

 決算書の結果が良いも悪いも過去のことですが、現時点で社長が考えるべきは将来のことです。5年後にどうなっていたいのか、会社の規模は、年商は、お客様は、扱い品目は、社員は、雰囲気は、経営者はこれらについて良いイメージを持つことがとても大切なのです。

 この数年先のイメージを文字や数字にしたものが中期経営計画です。そして、中期経営計画から逆算して1年後のイメージを文字や数字にしたものが単年度計画です。

 現実には1年前にイメージした通りの結果が得られることは滅多にありません。良いにせよ悪いにせよイメージと結果とは乖離します。しかし、イメージと結果とのギャップそのものは問題ではありません。

 イメージ実現のため計画通りに行動してきたのか。実行したけれども結果が伴わなかったのか。イメージしたときと実際とでは環境が変わってしまったのか。イメージそのものが大き過ぎたのか。どうして結果がイメージを下回ったのかを認識し、そのギャップを埋める対策を立てることが大切なのです。

 社長がどうしたいのかを明らかにしないまま、やれ売上増強、やれ新商品開発と笛吹いても社員は真剣に踊ることはできないものです。その前に、経営者であるあなたがどういう会社にしたいのかを社員に語るのが先ではないでしょうか。