企業は成長しなければいけないと言われます。どうして成長する必要があるのでしょうか。成長することは目的なのかそれとも手段なのか、現状維持ではいけないのでしょうか。
企業にとって大切なことは変わり続けることです。その企業に合った変化の形態が成長であったなら結構なことです。大きくなることは目的ではないのです。それぞれの企業や経営者には、身の丈に合った規模というものがある筈です。
現状維持は後退といいますが、何も変わっていない現状維持が後退なのです。変わり続けた結果、規模や収益が現状のままでしたら、その現状維持には意味があります。
100年企業の過半数は10人未満の会社です。普通でしたら100年も成長を続けた企業の社員数が10人ということはありません。成長してこなかったから10人なのです。しかし成長しなかったことは問題ではなく、100年に渡って事業を続けてきたという事実にこそ大きな意味があります。これこそが普通の中小企業が目指すところではないでしょうか。
成長してこなかった小さな100年企業は、100年間同じモノを同じ顧客に提供してきたわけではありません。提供するモノも対象顧客も、その時々の環境に合わせて変わってきた筈です。変わり続けたから生き残れたのです。
企業経営における鉄則のひとつに、「小さなリスクは恐れるな。大きなリスクは取るな」という言葉があります。大きなリスクを取らないためにも、日ごろから小さなリスクに挑んでいかなければいけません。その小さなリスクへの挑戦こそが企業における変化なのです。
バランスのとれた未来を目指すためにも、経営者には現在のバランスを壊して欲しいものです。社員は自ら進んで変化などしません。変化の先に素晴らしい未来が待っていると分かっていても変化を避けてしまうのが社員なのです。その現状に風穴を開けることが出来るのは経営者しかいないのです。