人間は褒められて伸びるもの。「よくやってくれた」「ほんと、助かったよ」「やれば出来るな」。褒められて嫌な気分になる人はいません。確実に気持ちよくなります。だったら褒めて褒めて褒めまくればいいのに。
しかし、褒められることで増長するのではないか、天狗になるのではないかと、人によっては褒めることに抵抗を示す人もいるのではないでしょうか。私にも多少その傾向があります。
褒めることで、相手が「私はもう出来る」「自分はもう十分頑張った」と自己満足して、増長したり天狗になったりするのは、「褒めっぱなしの罪」だと言うのは、“ほめ達”こと西村貴好氏です。
褒める目的は、褒めることそのものではありません。目的はモチベーションを上げてやり、さらに生産性も上げることです。西村氏は、褒めることによって上がったモチベーションの使い道を教えてあげることが大切だと説きます。
「君はこういうことを頑張って、こういうことが出来るようになったよね。次、こういうことに挑戦してみよう」と、次のステップを用意してあげる。
さらに相手が成長すれば、その背丈に合わせて大きいものを用意してあげる。「頑張ってこういうことが出来るようになった君が、なんでここで立ち止まるのか。才能の出し惜しみをするな」。叱っているようで、将来の可能性を認めて伝えてあげる。
いま経営者である人が過去に褒められて育ったかというと、そんな人は少数派で、厳しく叱られながら指導されてきた人が大半です。だから人は叱った方が成長するのだと考えるのはどうやら早計過ぎるのです。
いまの若者の多くは、厳しく仕込まれ、勝ち抜き、将来は出世したいなんて思っていないと聞きます。そんな若者たちをモチベートしなくてはならないのですから、ムチを振り回していたのでは表面的に従うだけです。自発的な行動を起こさせるのはアメの方が効果的です。
人を褒めるというのはスキルのようです。私自身が社員を褒めているのだろうかと自問すると反省してしまいます。まだまだ私にはスキルが足りていません。