まずは形から2

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 大石会計事務所では、感謝の気持ちを「ありがとうございました」ではなく「ありがとうございます」と伝えることにしています。

 過去の行為についての感謝への表明は、「ありがとうございました」の方がしっくりくるような気もしないではありませんが、それでも敢えて「ありがとうございます」を使います。「先日はお越しいただき、ありがとうございます」過去の行為についても、これでいいのです。

 一般に日本人はありがたい気持ちを、「ありがとうございました」と過去形で表現することが多いように思えます。それについて「ありがたかったのは過去のことですか」とまで考える人はかなり偏屈な人で、正直ありがたいと思う気持ちに差はないように思いますが、大石会計では現在形にこだわっています。

 ちなみに、エチカの鏡で紹介された接遇の鬼と言われる平林都さんも、感謝の言葉は現在形の「ありがとうございます」を使うべきだと言っておられます。また、外国では日本語の「ありがとう」にあたる言葉は現在形しかないということです。

 言葉ひとつひとつを大切にすること、そしてそこに込められている意味を社内で共有することは大切です。どちらが正しいということではなく、誰かが発した「ありがとう」という一言についてもなにかを感じ、考えることが大切なのです。

 ついでにひとつ、大石会計ではお客さまに「いらっしゃいませ」は使いません。「いらっしゃいませ」では言葉のキャッチボールにならないので、「おはようございます」や「こんにちは」など、挨拶の言葉でお迎えすることにしています。

 さらにもうひとつ、電話等でお待たせするときに「しばらくお待ちください」と一方的に言うのではなく、「しばらくお待ちいただけますか?」と疑問形で言うのも決まりごとです。

 だからと言って、他の人が「ありがとうございました」「いらっしゃいませ」「少々お待ちください」と言うのを聞いても、まったく不快に思うことはありません。むしろその方が普通のことなのですから。